
紙のDM(ダイレクトメール)の送付において、コスト面で人気のある「ゆうメール」には「信書」を送れないという制限があります。では、その場合は必ず普通郵便で送る必要があるのかというと、実はそうとは限りません。本記事では、「信書」をどのように送ることができるのか、その方法と注意点について解説します。
信書はゆうメールで送ることができるのか?
日本郵便が提供する「ゆうメール」は、冊子やカタログ、CD・DVDなど、印刷物や電磁的記録媒体を低価格で送れるサービスです。大きさに加え、重量の条件を満たしていれば利用でき、ポスト投函も可能なのが魅力のひとつです。しかし、法律により、特定の受取人に対して差出人の意思を伝えたり事実を通知するといった「信書」はゆうメールでは送れません。信書には、受取人の名前や所属団体などを明示したDMも含まれます。
一方で、同じ内容でも、「無封の添え状・送り状」であれば、ゆうメールでの送付が可能です。添え状や送り状は、送付物の目録や性質、使用方法等を説明する文書、あるいは送付と密接に関連した簡単な通信文で当該送付物に従として添えられるものを指します。
つまり、書き方・表現次第で、ゆうメールで送れない「信書」か、送れる「添え状・送り状」か認定が分かれるということです。さらに、「信書」の「特定の受取人に宛てられた表現」を一切取り除くことで非信書化して、ゆうメールで送付するといった手立ても有効です。
総務省や日本郵便は、内容物の審査を非常に厳しく行なっており、条件に満たないものはゆうメールでの発送が禁じられています。また、審査基準は郵便局員によって微妙に異なることがあり、一度送れたとしても、次回は送れないといったケースが発生する可能性もゼロではありません。
添え状・送り状について
ゆうメールで印刷物や商品を送付する際、同封されることが多いのが「添え状」や「送り状」と呼ばれる文書です。添え状や送り状は同封物の内容をかんたんに説明したり、形式的な挨拶を記載したりするもので、あくまで送付物に付随する補足的な役割をもっています。たとえば、資料を同封する際に「資料一式をお送りします。ご査収ください。」といった簡素な文章が添えられる場合、それは添え状に該当します。総務省の「信書に該当する文書に関する指針」には、添え状・送り状について次のように書いてあります。
運送営業者、その代表者又はその代理人その他の従業者は、その運送方法により他人のために信書の送達をしてはならないが、貨物に添付する無封の添え状又は送り状は、この限りでないこととされている(郵便法第4条第3項)
(1)この規定は、添え状・送り状が受取人や運送営業者にとって貨物の点検等を行う場合に有益な文書であり、貨物を添付する際に添付されることが必要と認められることから設けられたものである。したがって、添え状・送り状は、貨物という送付の主体があって、その送付に関する事項が記載された文書が従として添えられる場合に限られるものである。
(2)「添え状」とは、送付される貨物の目録や性質、使用方法等を説明する文書及び当該貨物の送付と密接に関連した次に掲げる簡単な通信文で当該貨物に従として添えられるもののことである。
ア 貨物の送付に関して添えられるその処理に関する簡単な通信文
イ 貨物の送付目的を示す簡単な通信文
ウ 貨物の授受又は代金に関する簡単な通信文
エ 貨物の送付に関して添えられるあいさつのための簡単な通信文
オ その他貨物に従として添えられる簡単な通信文であって、上記アからエまでに掲げる事項に類するもの
(3)「送り状」とは、貨物を送付したことを通知する案内書のことであり、具体的には、送付される貨物の種類、重量、容積、荷造りの種類、個数、記号、代価、受取人並びに差出人の住所及び氏名等当該貨物の送付に関する事項が必要に応じて記載されたもののことである。
添え状・送り状を正しく理解することが、信書の最適な発送方法の選択へとつながります。添え状の範疇を超えてしまうことのないよう、その文面作成には細心の注意を払い、コストパフォーマンスの高いDMを目指しましょう。